桜蔭塾 第9回講座報告

三浦  徹 先生「家族と女性」
~ヴェールをこえて~

 第9回講演には三浦徹先生をお迎えしました。前回(9月)のご講演「イスラーム世界は何を語るか~日本との交流~」から進展させ、今回は、お茶大らしく「女性」を視点に置いた講演をしていただきました。受講者は33名でした。

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 前回の講演は、イスラームに関する思い込みを覆すお話しが中心でしたが、今回はまずイスラーム法の家族・婚姻・相続における男女の違いについてのお話、そして「ヴェール」の意味や意義などを語ってくださいました。また、アラブの家族は父系でつながっており、特に名前の付け方などに父系のつながりが見られることや、婚姻における締結権も女性本人ではなく後見人(父)が持っていたり、宗教の違いによって結婚できないことがあることもご説明くださいました。女性の財産権が保証されているが、相続権については男性の半分ということです。

 こうした男女の社会的な扱いの差を確認した上で、ヴェールの話題に進みます。女性は「美を目立たせてはならぬ。覆いを胸の上に垂れよ」、「結婚の可能性のある男性には髪や体の線を隠すように」との教えがあります。もちろん、女性同士では隠す必要もないので、非ムスリムと同様におしゃれを楽しむ行動がみられるそうです。また、ヴェールには日差しや砂嵐を避けるという実用的な働きもあるとのこと。

 最後は、フェミニズム運動、女性の権利からみた「脱ヴェール」、「再ヴェール化」といった印象的なお話で講義が締め括られました。

 興味深いテーマを多方面から客観的にたくさんの写真を交えてわかりやすくご説明くださいました。2回にわたる講義でイスラームの世界を深く理解することができました。三浦徹先生、本当にありがとうございました。

★受講者からの感想★

・「ヴェール」を起点に、西洋社会の偏見、時代の変化に伴うムスリム諸国の対応の変化をご指摘されているのが興味深かった。

・中庭を利用して、女性が予期せぬタイミングで外部の人と合わないようにしている工夫が面白いと思いました。廊下のある日本家屋も似たようなことができますね。しきたりがあれば、そのしきたりが無理なく守れる工夫がある。それは世界共通かもしれないと思いました。

・イスラムについて、法律面の知識が全くありませんでしたので、ご講義を聞いて大変勉強になりました。またスカーフのお店の写真も初めて見たので興味深かったです。

・二度にわたる三浦先生のご講義でイスラームの世界へ興味や関心が広がりました。 今回の講義では、オスマン帝国の女子師範学校の創立と東京女子高等師範学校の創立が、1870年と1875年と近いことが印象的でした。 違いではなく、共通することを、イスラームの世界を知る手がかりにしよう、という三浦先生のお話を心に刻みたいと思いました。 三浦先生有難うございました。

・このような講義が聞ける今の学生が羨ましいです。イスラム教について大変わかりやすく説明していただき、勉強になりました。

・キーワードをひと通り聞いて、興味のあるところを自分で深めていく、そんなきっかけになる講座だったと思います。(スライド資料がいただけるので)

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・西洋は東洋を西洋の物差しで見る、違いにばかり注目するということを聞いて、人は自分の見たいものを見たいようにしか見ないと感じた。大学時代、文化人類学の原ひろ子先生が、観察して自分の解釈したことを対象者に投げかけて確認すべきとおっしゃったことを思い出した。 文化の違いや性差に限らず、人と人が理解するための大事な視点を提示してもらったと思う。

・イスラムの世界は、なかなかなじみがなかったのですが、先生の2回の講義のおかげで、 いろいろと知りたいことが増えました。あれこれ関連する本を読んでみたいと思います。

・ヴェールはやはり,廃絶されるべきと思います。「女の髪は男を誘惑する」というのがユダヤ教以来の主張ですが,ユダヤ教も一部の正統派を除けば,変化していると思います。カソリックが教会で帽子なども被り物を欠かさないことや,アーミッシュの女性がいつも白い被り物をしているなど,根は同じなのだと感じます。

・異なる文化をありのままに理解することは、人を理解するうえで大切だと改めて思いました。イスラム社会について、更に理解が進みました。2回のご講義、本当にありがとうございました。

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