桜蔭塾 第10回講座報告

多賀 幹子 氏「孤独は社会問題」
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~孤独対策先進国イギリスの取り組み~

 第10回講演には多賀幹子氏をお迎えし、「孤独は社会問題」~孤独対策先進国イギリスの取り組み~を講演して頂きました。受講者は76名でした。

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   講演では、「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」として世界初の「孤独担当大臣」を設けたイギリスでの孤独対策から、日本での孤独対策まで事例を踏まえた盛沢山のお話をしてくださいました。3代の孤独担当大臣が担ったイギリスの孤独対策はとても成果が上がり、ある程度の役目は終えたとして、現在は閉庁しているそうです。

   イギリスでの具体的な例としては、「メンズ・シェッド-定年後の男性の居場所作り。DIYで手を動かしながら連帯感を育む-」「コスタ・コーヒーのおしゃべりテーブル-来た人が自由にしゃべれる場所作り。赤ちゃんを育てている人の要望-」「ageUK-高齢者の話し相手を電話で行う-」など。さらに、「高齢者の夢を叶える」、お金はかけず知恵と時間を出し合い、協力することでお年寄りを幸せにする取り組み。高齢者の孤独を救うのは、身近なコミュニティであることを教えてくださいました。

   日本でも孤独・孤立対策担当大臣を設置し、多賀さんは2代目の野田聖子大臣にインタビューをなさったそうです。孤独孤立の事象に応じた対策が用意されそのルートもあるのですが、今一つ身近な対策に感じられなかったそうです。優しい社会を目指し、「だれも孤独にしてはいけない」の主張をないがしろにされないような社会にしたいという話で講義が締め括られました。多賀幹子さん、たくさんのお話、本当にありがとうございました。 

★受講者からの感想★

・高齢者は自分の生きてきた時代を肯定的に捉えていいんだ、ということが印象に残りました。イギリスでの取り組みが全体的に他者に対して寛容であることが基本にあるように感じました。日本は自己責任論が根強いように思います。

・個人の問題である孤独が、社会的にも多くの人の問題で、イギリスでは国を挙げて取り組むという政治の姿勢、政治家の姿勢がうらやましかったです。孤独をいいものととらえるか、悪いものととらえるかという視点の違いに気づかされました。

・男性のほうが地域に溶け込みにくいのでメンズシェルトは日本にもあるといいですね。町会やシルバー人材センターのような複雑な人間関係でない場所も必要です。 ちょっと寄っておしゃべりできるコーヒー店も魅力的です。高齢者だけでなく若い人でも人と話したいときはあるはずです。 高齢者の傾聴ボランティアももっと日本にもあるといいですね。コロナ禍で益々対面での活動ができなくなって特養などの面会もできなくて心配が募ります。 いろいろな分野で考えることの多い講演でした。 ご著書を拝読します。ありがとうございました。

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・講師の率直でスパッと、しかし可愛らしく(失礼!)お話になる様子に惹かれ、楽しく拝聴できました。 けっしてイギリス社会がすべて良いという訳ではないですが、羨ましい土壌があるように感じたのは私だけでしょうか。私も多少のボランティア的活動を20年程続けてきて・・・課題当事者と関わらない、他人事とする方もまだまだ多く、見てみぬふりをする人々や地域社会や政治・行政などなどあらゆる所に他者と繋がろう・関わろうとする意欲が非常に低い国柄があると感じてきました。そういった今の時代のありようを思い起こし、少し悲しくなってもきました。自分はそうならない・まず自分から、とは思うもののなかなかというのが正直なところです。

・ご講演ではあまり多く触れられなかったのですが、”孤独”と”孤立”の違いについて、自分なりに考えさせられました。いろいろなヒントを頂けて良かったです。有り難うございます。

・女性の友達を大切にすること、 女性は長生きします!一緒に歩いてくれます!の力強いお言葉に、 改めて、桜蔭会の絆を大切にしていきたいと思いました。さっそく、ご著書を予約しました。ご講演有難うございました。

・孤独な人々を見守る環境を作り上げることが、より良い社会の構成にいかに大切かを学んだ。

・イギリスの取り組みを知ったことや、自分なりに今後どう生きていくか考えるきっかけを与えてくださったと思います。孤独は年齢に関係なく、一人でも孤独と感じなかったり、家族がいても孤独だったりあると思います。また、他の様々な社会問題と絡み合って、現在混沌しているように感じます。ただ、まずは小さなことから始めることが大切だと思いました。

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