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桜蔭塾 第16回講座報告

着物研究家

シーラ クリフ 氏

着物にみるファッションの歴史

 第16回講座は、イギリス生まれの着物愛好家、シーラ クリフ 氏をお迎えしました。

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 クリフ氏は、ファッションが通常ヨーロッパ中心に論じられていて、アジア・アフリカのファッションは伝統的なものを継承しているだけと思われていることに違和感があったとか。しかし日本の着物の歴史を紐解いてみると、常に新しいものが生まれ、自分自身を表現する手段になっていたという、クリフ氏にとっての“ファッションのポイント”が満たされたものだったそうです。
 平安時代の重く動きにくい十二単から、その一部が小袖や袴など実用的なものに変化した室町時代、贅沢禁止令をかいくぐって新しい素材や技法が花開いた江戸時代、そして着物が礼装としてのみ生き残った現代。着物の歴史をわかりやすく紐解いていったあと、「今、新しい風を感じている」と言われました。自由な発想で着こなした着物の写真がネット上にあふれ、着付けもYouTubeで学べるようになっています。インスタにあげたクリフ氏の着物の写真は、6万人に見られているそうです。
 資料として紹介いただいたクリフ氏の着こなしはどれもポップでファッショナブル。見ているだけでも確かに“新しい風”を感じることができた講座でした。
 質疑応答は、時間超過になるほどの盛り上がりでした。「ポップに着こなすコツは?」「自分に似合うものの見つけ方は?」といった質問から「着物がたくさんありすぎて困っている」という相談まで、お話はつきなかったので、続きはぜひネットでクリフ氏のお名前を検索してみてください! シーラ先生、本当にありがとうございました。

★受講者からの感想★

・着物を日本人とは異なった視点でとらえて、自由にきこなしていらっしゃることに、新しさを感じました。私たちがとらわれている点が明確になったと思います。

・木綿が絹より高かった時代があったこと。ファッションの流れの傾向が三つあること。江戸時代のファッションの変化。絞り刺繍などが禁止されて友禅が発達したこと。銘仙の普及の経過。戦後着物が普段着でなくなったことなどに興味をひかれました。

・着物を、自由に、ポップに着ることに気づかされました!

 

・日本の着物の良さを改めて感じることができました。私も興味はあるのですが、組み合わせや決まり事、そしてお手入れなど、わからないこと面倒なことが先に立ち、なかなか着物を着る機会がありません。齢を重ねて立派な着物体型になってきましたので、少しずつチャレンジしてみたいと思います。今日は貴重な時間をありがとうございました。

・古いと思われている着物が、実は組み合わせが幾通りもあり、自由に着られるものだというところが興味深かったです。

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・日本の服装史に対する造詣の深さに感服しました。日本の着物に興味を持って長年研究していただいていること、大変うれしく存じました。

 

・TVよりも研究者である側面を強く垣間見ることができたように思います。

・やはり江戸以降、特に明治以降の話が面白く、そこをもっと聞きたかったです。また、先生のお気に入りコーデを数例、写真付きで解説してほしかったです!

 

・シーラ先生のファッション(着物)に対する熱情を感じることができた。

着物情報の媒体や広まり方の変化のお話が興味深かった。伝統の美としての着物も大事な文化だし、みんなが普通に身につけるものとしての着物も大事な文化だと思いました。

・浴衣が江戸時代に生まれ末期にブームがあったことに驚きました。(もっと昔からあると思い込んでいたので。)  ヨーロッパの牡蠣が病気でほぼ全滅し日本の牡蠣を運んで養殖をし産地が復活したのと同じことが蚕にも起こっていたのも意外でした。イタリアやフランスのシルクのスカーフ柄の変遷も興味深かったです。いくら禁止されてもおしゃれ心は封じ込めることができず庶民が知恵を絞って新しいファッションを作っていくたくましさはいいですね。

・十二単を御自身で着て、述べられた感想にとても驚きました。新しい視点を感じました。

・江戸時代は絹より綿が高価であったなんて。色々制約がある中でも、細かいところでおしゃれを楽しんでいたことがわかりました。季節の変化や自然に対して、現代より繊細な感覚で過ごしていたのだろうと、時間に追われて毎日同じ服を着ている身としては恥ずかしく思います。

・話のテーマが画面で示され、ポイントが非常にわかりやすく、さらに写真で具体的に見れて楽しかった。自宅で参加できたのがよかったです。

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