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桜蔭塾 第18回講座報告

十文字学園女子大学 教授・桜蔭会会員

上垣内 伸子 

乳幼児期からの子どもの権利について考えてみませんか

 第18回講座は、十文字学園女子大学教授の上垣内伸子先生をお迎えしました。

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 上垣内先生は、お茶の水女子大学大学院家政学研究科児童学専攻を修了後、子どもの城小児保健部心理相談員、お茶の水女子大学家政学部児童学科助手を経て、十文字学園女子大学で保育者育成と幼児教育研究に携わっていらっしゃいます。

 ご講義は、全世界で誰もが親しんでいる世界最強のおもちゃ「いないいないばぁ」の紹介から始まり、子どもの権利条約の解釈へと話題は進みました。子どもの権利条約にある子どもの「意見表明権」について、日本語では「意見」と訳されていますが原文では”views”となっており、0歳の赤ちゃんを含めた子どもたちの”views”を十分に考慮する必要があると強調されていらっしゃったのが印象に残りました。また昨今のコロナ禍、ウクライナ危機などにおいて幼児教育が受けた影響や有事の際の幼児教育の脆弱性にも言及され、子どもの権利としての幼児教育についてもその必要性が訴えられてきたあゆみをご紹介いただきました。

 大人はとかく子どもたちを「大人とは別の存在」として捉え、「ケアの一方的な受容者」や「育てられる存在」として考えがちですが、子どもも含めて「私たち」と考え、子どもが社会で果たしている役割、子どもの力に信頼を寄せること、子どもたちの“views”の代弁者となること、子どもの権利を尊重するために社会に呼びかけ連帯することが必要だと結ばれました。

 子どもたち一人ひとりを権利の主体者と考え、また私たち受講者の”views”も受け止め共に歩まれようとされる先生のお人柄がひしひしと伝わる、心に残るお話でした。上垣内伸子先生、本当にありがとうございました。

★受講者からの感想★

・子どもの声にしっかり耳を傾けることが、子どもの権利を守ること、同感です。 先生のますますのご活躍を祈念いたします。

・知識としてはありましたが、子どもの意見表明権について詳しくお話しいただき、今後より意識したいと考えました。

・幼児教育というと、ケアの方ばかりイメージが行ってしまうが、改めて質の高い教育の側面が大切だとわかった。

・会場の質問者に対して 現場にいる人間はそこで共有できていることで発信するから一番強いたしかな発信ができるとおっしゃったのが印象に残りました。

・日ごろから、思いはありましたが、表明しなければならない、~どんな形でもいいから~、ことに気づかせていただきました。子どもの話を聞くことから、勝手な思い込みで誤解しないことから、ひとつずつ、viewを持ってまいります。ありがとうございました。

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・大変興味深く視聴しました。地方議員で、子どもの権利条例を制定したいという思いを持っていますが、今日の視点はとても参考になります。

 

・どの国の子どもであっても、「いないいないばぁ」は世界最強のおもちゃ!感動です。 おもちゃを豊かにもっている子どもであっても、手と声と顔のこのおもちゃは、世界最強の心が通じるおもちゃだと思います。ありがとうございました。

​・保護者支援を担当することがあります。日本の相互協調的文化の伝統的なよさも継承しつつ、今日的国際的な子どもの意見尊重ができるといいのですが、両者のバランスのとり方がとても難しいなと感じています。家庭でしつけをしている保護者や、子どもと関わっている地域の方々に、先生ならどのような関わりアドバイスをなさるか伺いたかったなと思いました。また機会をみて、勉強してゆきたいと思います。本日はありがとうございました。

・ニュースで知らされるのは家族内での幼児児童の虐待。これらこそ守ってやらなければならないのではないでしょうか。また子供の要望と親の要望の擦り合わしは時間的にも経済的にも大変で親は疲れてしまいます。子育ては非常にストレスのかかる仕事です。

・乳幼児さんにもかかわることが多い仕事をしておりますので、赤ちゃんのVIEWSを聞き取れるような柔らかなこころを持ち続けたいと思いました。

・条約や宣言を子どもと関わる自分ごととして考えるには、日々の保育を語る中で評価していくことが大切だと思いました。 「子どもの権利」についての研修が増えたことで、保育者の考えも変わってきていると思います。これからも乳幼児教育、保育についての発信よろしくお願いします。

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