桜蔭塾 第24回講座報告
作家 中島 たい子 氏
作家が教えるエッセイの書き方
第24回桜蔭塾では、作家としてご活躍の中島たい子先生をお迎えし、「作家が教えるエッセイの書き方~あなたも”小さな自分史”を書いてみませんか~」と題してご講演いただきました。会場とZoomのハイブリット配信で約70名が受講しました。
はじめに、エッセイとはどういうものかをお話しいただきました。本当のことを書くのでノンフィクションであること、出来事の顛末や情景、考えや思いなどを、効果的に「小さく切り取って見せる」ものということ。いざ、書こうとすると、つい説明的に長くなったりあれもこれも入れたりしがちですが、それを抑えて「小さく切り取る」とのご指摘に、目が開かれる思いがしました。
おもしろく書くコツは、「客観的な視点」で「俯瞰から、多角から、テーマを見ること」。つまり、日記のようになってしまったり愚痴や自慢になったりしないようにする。そのためには一度間を置いて読み直してみるのもコツだそうです。そういえば、夜中に書いたメールを出さずに、翌朝見直すと冷静になれたりしますね。それと同じかなと。
そして何と言っても「何を読み手に伝えたいのか」を明確にすることが最も大事だとのこと。言われてみれば当たり前にも思えることですが、なんとなく書こうとして、やはり上手く書けなかったことを思い出しました。でも、手紙を書くときは何を伝えたいか明確ですよね。
型がない分書きにくいということもありますが、時候の挨拶を抜いて手紙を書くように書き始めれば良いそうで、自分の中にあるハードルを下げていただいたように思います。
先生は、カルチャーセンターでエッセイ講座の講師をなさっているそうですが、受講者が書かれるエッセイを読むと、まさに「事実は小説よりも奇なり」とのことで、自分の思ったことを素直に書くことで、「おもしろいエッセイ」を自然に書くことができるというお話に、書き始める勇気をいただきました。
講演中は、先生の飾らないお人柄や内面からの美しさが感じられ、エッセイもそのように自然体で素であることが魅力なのだと感じたものです。そして、具体例を交えても、冗長にならず明瞭簡潔。時間が過ぎるのも早く、質疑応答も盛り上がり、この講演自体が一つのエッセイにも思えた印象深いものとなりました。
中島たい子先生、ありがとうございました。
★受講者からの感想★
・エッセイの書き方について、絵を描くように客観的に俯瞰することが大事なのだということが分かりました。読み手に伝わるように意識して書いてみようと思いました。
・書き出しは難しいが、一歩進めよう!手紙の「お元気ですか?」を抜いておしゃべりするように、自由に書こう!というひとことでチャレンジしてみようと思いました。
・エッセイを書く上で、主張や考えが一方通行にならないように注意することが大事なんだなというところが印象に残りました。読み手がいることへの想像力を巡らせる必要があるということが学びでした。
・自分が思ったことを独自の視点から読者に伝わるように素直に書けばいいのだと確認できてよかったです。
・「自分が面白いと思ったことを人にも面白いと思わせること」が印象に残りました。これは難しい、つい独りよがりになることを反省しました。「何に興味があったのかを具体的にメモをするとよい」との話から、メモの取り方など実践したいと思いました。
・「オチ」よりも最後のまとめ(何が言いたかったのか)を書くことが大事で、それが読み手の心に残るということが印象深かったです。
・エッセイは、友人におしゃべりをするように、自分の体験を自分らしく、しかし客観性は忘れずに書くものだという点。思ったより気楽に書けそうで親しみを感じた反面、バランスが難しいと感じました。
・独自の視点と、読み手のことも考えて一方通行にならない文章を書く、というのが印象に残りました。
・講師の中島さんは、自然体で真摯な方でしたので好感が持てました。自分の感受性、観察力などを文字で相手に伝えることは、自分を知る事でもあるのだなという事を学べた気がします。
・ちょっとした文章をどこかに書かなくてはならないことは多々あります。エッセイとまでいかなくても読む人に伝わる文章にしたいと思っているので、今日のお話を参考にしたいです。
・肩の力を抜いて書くということ、中島先生のおおらかなお人柄からその極意を教わったように思います。エッセイストを目指すわけではないですが、一日一日を何か文章にしてみたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
・司会の方とのやり取りも、講義の内容をわかりやすくして下さり興味深く受講しました。 講演資料があり、帰宅後も再確認でき嬉しいです。有難うございます。