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桜蔭塾 第29回講座報告

お茶の水女子大学基幹研究院教授

藤川 玲満 氏

江戸期の出版事情 ―流行の書物の周辺から―

  第29回桜蔭塾では、お茶の水女子大学基幹研究院教授の藤川 玲満 氏をお迎えし、「江戸期の出版事情―流行の書物の周辺から―」と題してご講演いただきました。会場とZoomのハイブリット配信で34名が受講しました。

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  江戸時代に出版された書物とその関連について、貴重な文献の写真や資料を様々に示しながらお話しくださいました。出版文化の始まりから、当時の時代背景や社会の仕組み、政治とのつながりや流行などまで様々な事情がかかわっていることがわかり大変興味深い内容でした。教科書やドラマなどで見聞きしたことのある出版物や作者・人物についてもさらに深く踏み込んで知ることができ、わくわくしました。日常的に歴史的な文章に触れる機会は少ないですが、この度の講座で、当時の人々の息遣いや現代も変わらない人間模様の一端を感じることができたように思いました。
 藤川先生の丁寧なご説明と、文献を読み上げてくださるお声がとても素敵で、受講者も大変熱心にお話に引き込まれていました。藤川先生、本当にありがとうございました。
 

*参加された方で、講演資料のデータ送付をご希望される方は、桜蔭塾までメール(jigyoubu@ouinjuku.com)またはHPのお問い合わせよりご連絡ください。

★受講者からの感想★

・江戸時代の本屋の組織と出版の制度がしっかりしていることに驚きました。資料に基づいての説明をお聞きしながら、江戸文化の力というものを感じました。

・上方の出版事情も詳しくお話いただき、大変充実した内容でした。

・現在放送中の大河ドラマ「べらぼう」とリンクする話が多々あり、興味深かったです。『金々先生栄華夢』、出たー!と思いました。しみじみと見せていただいて、嬉しかったです。

・図会の挿絵(現代の挿絵や画像)が、源平盛衰記や太平記などの伝記や物語へ発展していった経緯が興味深く聴きました。

・古活字版が日本にもあったことが意外でした。出来上がりを見ると整版の方が買いたくなる挿絵がはいり異例の販売数につながったことが興味深かったです。当時から類似の本や作り変えなどの不正行為や風紀上の問題が考えられ取り締まれていたのも面白かったです。

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・講師の先生が、とても、素敵な方で、お声もとても明瞭でZoomでも聞きやすかったです。ご研究の内容はとても深くて、素晴らしいと感じました。

 

・内容はとても濃く興味を持てました。少し文学史を勉強しないといけません。原文を出していただいたことでたくさんのことがわかりました。慣用句も多く当時の庶民の教養の高さに驚きました。​​

 

・本屋仲間の仕組みについてのお話が印象に残りました。具体的にどのような働きがあったのかピンときていなかったのですが、類板や重板を禁止し、それを仲間内で吟味するという仕組みが整えられていたことから、想像よりも組織的で相互に管理し合う仕組みになっていたのだとわかりました。また、当時の書物で語られていた、規制の抜け道として別の地域で類版したり、禁止された内容の本の出版を許した行事も処罰されたという実情を知り、出版をめぐる人々の動きにも興味をもちました。

・NHKの大河ドラマ「べらぼう」から興味が湧いて、気楽な気持ちでご講義を拝聴しましたが、内容は専門的で資料もご用意いただき、大変勉強になりました。江戸の出版文化がいかに日本文化の裾野を広げ、発展させていったか、大河ドラマの見方も変わりそうです。ありがとうございました。

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