桜蔭塾 第30回講座報告
亜細亜大学経済学部教授・経済学研究科委員長
茨木 秀行 氏
「人口減少社会における日本経済の課題」
第30回桜蔭塾では、亜細亜大学経済学部教授・経済学研究科委員長の茨木秀行氏をお迎えし、「人口減少社会における日本経済の課題」と題してご講演いただきました。当日は会場とZoomを併用したハイブリッド形式で、約50名が受講しました。

茨木先生は、官僚としてのご経験と経済学の専門的な視点を踏まえ、統計や資料を示しながら、時にはクイズも交えて、今後の日本社会が抱える課題や展望、そして私たちができることについてわかりやすくお話しくださいました。
昭和の高度成長期や平成のバブル期を経て、特に少子化による人口減少がどのように進み、なぜ問題となっているのか。これまで当たり前とされてきた「新卒一括採用・メンバーシップ型雇用」から、「人材を管理対象ではなく資本として捉える発想」への転換の必要性。さらに「外国人労働力の冷静な見直し」や「役割分担を再考し、効率的な仕組みを構築する重要性」など、多角的な視点から示唆に富むご指摘をいただきました。
特に、日本の人材について「潜在能力は高いものの学歴偏重で専門性が伴っていない」「仕事と能力のミスマッチが生じている」といった現状を踏まえ、「ジョブ型雇用や雇用の流動性を高めるべき」というお話は、世代を問わず共通の課題で次世代にも関わる問題であることを強く意識させられました。
また、「スマートシュリンク(賢く縮む)」や「適応戦略」といった将来像を描きながら選択肢を広げていく考え方、そして私たちの世代ができることとして可能な限り働き支える側として次世代につないでいく重要性についても、順序立ててご説明いただきました。難しいと敬遠しがちな社会問題について、理解の解像度が大きく高まり、本質への認識が深まる貴重な機会となりました。茨木先生、このたびは誠にありがとうございました。
*参加された方で、講演資料のデータ送付をご希望される方は、桜蔭塾までメール(jigyoubu@ouinjuku.com)またはHPのお問い合わせよりご連絡ください。
★受講者からの感想★
・人口減少の問題点と日本経済の課題をスムーズな流れで話していただいたので頭に入りやすく疑問点や課題を考えることができました。また、データを使ったグラフ等が多用されていて、視覚的にひとつひとつの問題点が理解しやすかったです。
・とても有益なお話をありがとうございました。長く政府の中枢にいらっしゃった方のお話は、現実的で、ためになりました。 特に、人的資本経営は初めて知りました。今まで、人件費が削減対象であることに違和感を持っていましたが、人的資本経営という考え方を知り、心強く思いました。ありがとうございました。
・太閤検地で室町時代から江戸時代にかけて人口が増えたことが大変興味深かった。 家庭内の家事育児の負担率をいかにあげていくかをいろいろ考えてしまった。 育休の取得や使い勝手の良さをいかに良くしていくか、国を挙げて指導してほしい。 人材と人手のミスマッチは大きな問題だと痛感している。 65歳以上の元気な高齢者が働きやすい環境整備も必要。 外国人労働者もなくてはならない存在であり、日本で気持ちよく働いてほしい。

・日本の労働者は「学歴過剰・スキル不足」だというのは初めて聞いたので、驚きました。 医療費に関しては、何かというと私たち高齢者が非難される空気があって肩身が狭いのですが、超高額医療?(それも高齢者かもしれませんが)が意外に多いということが分かってよかったです。(その他、多すぎて書ききれません)
・マクロ的な視点で社会問題を考える良い機会になりました。
・経済に詳しくなくてもよく理解できました。何回かシリーズ化して聞きたいくらいでした。
・若い世代の年金が負担増と受給額の減少と思われているがそうでもないことが印象に残った。子や孫との話題にしようと思う。
・やはり男女の役割分担に関する従来の意識(=ジェンダー意識?)を変えないことには色んな問題が解決できないのだなと思いました。 今後、更に外国人との共生を図っていかなければいけないのだから、「排外主義」に陥っている場合ではないということを、もっとたくさんの人が理解しないといけないと改めて思いました。 年金と保険料の関係もきちんと説明して下さってよかったです。 私たちがよくわからないままに漠然と思っていたことに関して、様々なデータを示しながら正確な理解に導いて下さり、とても勉強になりました。そういうデータを個人で見つけるのは難しいので、有り難かったです。大変わかりやすいご講義でした。ありがとうございました。
・スマートシュリンクは地方にとっては大切な喫緊の課題であり、専門家が適切にアドバイスをできるような体制が必要だと感じた。男女の壁はずいぶんなくなってきたが世界ではまだまだ遅れているのを痛感。 遅ればせながら協力していきたい。まずできることは介護のお世話にならないよう自分の体力を維持していくことでしょうか。 身の丈にあった全員参加を自分なりに考えて行動したい。
