桜蔭塾 第5回講座報告
三浦徹先生「イスラーム世界は何を語るか」
~日本との交流~
2021年9月11日、桜蔭塾第5回講座に、三浦徹先生をお迎えし、講演をしていただきました。今回から有料講座になりましたが、全国各地の卒業生から申し込みがあり、47名の受講者となりました。
講演では、たまたま2001.9.11事件から20年のこの日に、ご自身のご経歴やイスラームに関する思い込みを覆す写真を交えてお話しくださいました。
高校生や大学生に対するアンケートからイスラーム教とキリスト教とのイメージがほとんど真反対になっているのを、違いの強調ではなく共通性から出発して、素の情報を広げていく必要があると提言されました。
また、日本との交流については、よく知る言葉にペルシャ語に語源を持つものもあることや、明治以降の欧米に対する不平等条約撤廃を望む東洋人としての共感、各時代で刊行された書物のご紹介などがありました。9.11事件以降のアメリカとアフガニスタン・イラクの関係についてもご解説下さり、2月に「女性と家族」として続編の講座を行うと結んでくださいました。
最後に、チャットでよせられた多数の質問にひとつずつ丁寧にお答えいただきました。三浦先生、本当にありがとうございました。
★受講者からの感想★
・普段何気なく聞いているニュースの意味を、改めて考えながら捉えたいと感じました。ありがとうございました。
・今までイスラムについては新聞かテレビで知るだけでしたので、今日はとても勉強になりました。貴重な写真や資料など刺激あるお話ありがとうございました。
・ちょうど20年前の同時テロ以来、イスラームって、なんだか怖いって思っていました。
先生のお話をうかがって、本当は、平和を愛する人たちということがわかりました。
私たちは、東洋の人間なのですから、西洋の人たちより、もっとわかりあえるのではと
希望が出てきました。
・スライドを使っての楽しい講義でした。チャットも効果的に利用され、質問への回答をしてくださる時間もあって、まさに大学で講義を受けているかのようでした。この後のレポート提出がなくてありがたいです(笑)。
・おりしも9.11同時多発テロから20年の日にこのご講演を伺って、いままでもやもやしていたことがすっと腑に落ちた。特に西洋ー東洋軸と中東ー日本軸を交わらせた図示に、その時々で位置の定まらない日本の在り方を見て、おっしゃるとおり全く別の世界観が日本人には必要だとよくわかった。イスラムと日本の違いよりも共通性ということをマクロ(歴史)にもミクロ(日常・女性たち)にも説明していただき、「日本人はイスラームそのもの」ということが少し納得できた。
・せっかく五女子大コンソーシアムでアフガニスタンの女性指導者への教育支援をしてきたのに、今回のタリバンによって元に戻ってしまったのでしょうか。支援したのに残念です。
・イスラーム諸国や文化・宗教について人々の生き生きとした日常の紹介と時代の変化を講義していただいて、改めて、日本では欧米偏重の情報・志向があることを痛感しました。多様性も謳われる今、個人としても社会としても幅広くじっくり物事を見ていく姿勢をもっと持ちたいと思いました。
・予備知識なし、思い付きでカタールに行って文化の違いに衝撃を受けました。今日歴史的な背景を教えていただきもやもやしていたものがかなり晴れました。行く前に伺っていたらもっと充実していたことでしょう。
・「それであなたはどう動きますか?」と言われるとシュンとなりますが、それでも、日本人として日本として、欧米を経由しないでイスラーム世界と直接交流することがどれほど大事かということを痛感しました。