桜蔭塾 第8回講座報告
内田伸子先生「AIに負けない力を育む」
~ことばは子どもの未来を拓く~
2022年1月29日、桜蔭塾第8回講座には、2021 年度文化功労者に選定された内田伸子先生をお迎えいたしました。桜蔭塾としては初めて、会場での講演と同時にZoomでの配信を行いました。
コロナ蔓延ということで、対面講座は参加者15名での開催、現役大学生2名も参加してくださいました。
Zoomでは全国各地から72名の方々が受講されました。準備には万全を期しておりましたが、冒頭音声の不具合・先生の画像を追い切れなかったことなど、Zoom受講の皆様には大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
ご講演では、まず想像力の発達の 3 つの認知革命(10ヶ月頃~5 歳後半頃~9・10 歳から30歳頃)の解説、特に第1次認知革命から第2次認知革命への変化について具体的な調査研究に基づいた非常に説得力のあるお話、女脳と男脳の発達や日本語母語話者と英語母語話者の比較など興味深いお話が続きました。
次に、「早期教育もやりかた次第」というテーマで、習い事も(教え込みにならず)コミュニケーションを豊かにする程度に捉え、英語は母語をしっかり習得後の中学生からで十分間に合う、スマホに子守をさせないでなど印象的なお話を聞かせてくださいました。
最後に、「AI に負けない力を育む」として、クリエイティビティ・ホスピタリティ・マネージメントを挙げ、アインシュタインの「肝心なのは問うのを止めないこと」という言葉でご講演を締められました。膨大な研究成果をわかりやすく伝えていただき、教育における親や教師、身近な大人の姿勢の重要さを理解することができました。
内田先生、本当にありがとうございました。
※講演の詳細は、先生のご著書「AI に負けない子育て」(ジアース教育出版、2020)を参照ください。
「幼い子どもへのTVの見せ方について」
★受講者からの感想★
・脳科学の論文や、具体的な調査研究に基づいた、非常に説得力のあるお話に感動しました。 内容が濃すぎて、理解しきれないところもありましたが、レジュメがいただけて、後で読み直して考えることもできました。ありがとうございます。
・情報化時代になり、求められる能力が変わっていくのではないかと不安な気持ちになる現代です。本日のご講演から、人間として協力して生きていく力や、問題を解決していく力は基本的には人との関わりの中で育まれるということと理解して、根拠を伺い、確信がもててよかったです。周囲の子どもとのかかわり方も、あらためて確信させていただきました。ありがとうございました。
・非常に興味深い内容であり、大学時代がとても懐かしく感じられました。 現在、生後7ヶ月の娘を育てており、これからの育児を考える大きな指針となりました。zoomのチャットで質問されていた、スマホでの育児について、ご解答いただけると幸いです。 また、育休中ですが公立中学の社会科教員をしています。子どもを育てる仕事としても大切なことを聞くことができました。日頃の実践のなかでも意識をしていこうと思います。 zoomでの参加でしたが、講演の最初の方がノイズなどではっきり聞くことができませんでした。録画等していましたら、限定公開していただけると嬉しいです。 ご講演いただいた内田先生、運営いただいた桜蔭会の皆さま、ありがとうございました。
・具体的な被験者親子の様子や女児の録音音声があり、わかりやすかった。内田先生自身の研究だけでなく、他の研究者についても、研究方法や結果を具体的数字を示してもらい、納得がいった。内容が盛りだくさんでスライドがどんどん進むので私にとっては少し消化不良であった。残念なのは、最初の方の音声が聞こえなかったり、雑音が入ったこと。内田先生のお顔が見えなかったこと、会場の様子が見えなかったことも残念だった。
・自分自身の子育てはどうだったかなと振り返りながら先生のお話を聞いていました。現在孫が4人いるので、孫との接し方について参考になりました。
・在学中も、先生の講義は興味深くて大好きでしたが、改めて教育、子育ての本質を再認識しました。 日々の生活に追われ、楽な方へと流されやすい子育て世代の方々に是非聞かせてあげたい内容だと思いました。
・親世代の大人たちがAIにどっぷり浸かっている今、乳・幼・児童期の子どもたちにどのような関わりが必要で大切なのかを再認識する貴重な機会となった。資料も説明もとても分かりやすく引き込まれた。
・とりわけ早期からの英語教育がよろしくないことなど、根拠も含め聴けたことなど印象に残りました。日本の教育のあり方・方針ってその時々の適当な(為政者の?)好み・思想で方向が決められ、かつ軽視されてきたと感じてきました。もう少し科学的、発達的観点に立って進めてほしいと以前から思っていました。沈みつつある日本が浮かび上がるには、何といっても質の良い“教育”を手厚く子どもたち誰にも行きわたらせることしかないと勝手に思ってきました。講師の研究における新たな知見が実際に日本の教育に活かされていることも聴いて、少し安堵しました。日本の教育の知識偏重や質的遅れがますます酷いと思っていましたので。
・普段の大学の講義とは異なるアプローチで子どもとの関わり方を学ぶことができ、非常に有意義でした。しまじろうで育ったので、直接お会いできて嬉しかったです。