桜蔭塾 第31回講座報告
お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系 教授
太田 裕治 氏
「TypeB工学」としての人間工学
第31回桜蔭塾では、お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系教授の太田裕治氏をお迎えし、「TypeB工学」としての人間工学 と題してご講演いただきました。当日は会場とZoomを併用したハイブリッド形式で、約60名が受講しました。

太田先生は、ご専門の人間工学・医用工学について、またご自身がつくられた(!)「TypeB工学」という考え方と立ち上げにご尽力されたお茶大共創工学部のこと、さらにはご旅行先のドイツ・ハンブルグでのエピソードも交え、大学教育や研究の状況・今後についてなど、図や資料・写真や動画も含め4部構成でお話しくださいました。
開発に携わられた技術には、その裏側に、緻密な計算や膨大な実験とともに人を助けたい、何とかしたいという先生の熱意を感じました。また「理」と「工」相互の関係、問題解決の方法も解も1つではなく、そしてそれが必ずしも正解とも限らないという言葉には視野が開ける思いでした。お茶大の新たな教育の柱である共創工学部にもつながるキーワードは「異分野」「違和感」「はみ出し力」「協働」。「異なる2つのベクトルが、一時少し道をそれて共に問題解決し、またそれぞれ次に進んでいく」という構図は、まるで冒険ドラマのようでもありながら、気づけば本日のお話のすべてにつながって響いていて、先生のお考えに深く頷いていました。
授業や研究、学生さんとのやり取りのお話は、今のお茶大の様子を垣間見ることができ、卒業生としても新鮮で嬉しく思いました。さりげないサプライズコラボ(!)もあり、先生のお人柄が伝わる楽しく親しみやすい、また大変密度の濃いご講演でした。参加者からのたくさんの質問や感想にも最後まで丁寧に真摯にお答えくださり心より感謝申し上げます。
太田先生、このたびは誠にありがとうございました。
*参加された方で、講演資料のデータ送付をご希望される方は、桜蔭塾までメール(jigyoubu@ouinjuku.com)またはHPのお問い合わせよりご連絡ください。
★受講者からの感想★
・太田先生が、脊髄損傷者の歩行支援に取組まれて歩行装具の改良をなさったご本人でいらしたこと。病院で装着している方を見かけると「歩くことが出来て良かったですね」と心の中で声掛けをしておりました。患者さん達に何か出来ないかとお考えになられた太田先生の熱意と技術が、あの歩行装具には詰まっていたことを知り、感動いたしました。
・異分野同士が少しずつ歩み寄って問題解決のために協働する、という話はかなり刺さりました。工学だけではなく世の中の全ての問題に共通することですね。
・先生が楽しんで仕事をされていることが印象的でした。
・前半の脊椎損傷者歩行補助ロボットの部分は専門外で難しく感じましたが、中盤からどんどん分かりやすく興味を持って伺えました。お嬢様の話や参考図書や様々な事例を通して、現在の自分が目指す仕事にとっても深い共感を覚えました。私は文系理系の区別嫌で、当時はどちらも出来そうと思い食物学科を選びましたが、共創工学部があれば是非進みたかったです。

・朗らかな先生で非常に魅力的な講義でした。また機会があったら古巣の生活工学の講義を申し込みたいです。H11卒ですがその頃は医用工学はなく被覆生理学や洗浄化学、建築学応用化学の時代でした。変遷を頼もしく感じました。
・最初から最後まで、共感しながら、とても楽しく拝聴いたしました。現職は、中小企業の技術のお医者さんという面もあると考えていて、共創工学の重要さを見にしみて感じており、本日のお話を職員皆に聞かせてあげたい、と思いました。また、男女で区別する訳ではないですが、女性は共感能力に長けている部分もあるような気もしていて、共創工学が女子大に創設された意義もあるのかな、と思ったりしました。
・私はかなり前に物理科を卒業しましたが、その時に他分野と協働する視点に立ち、社会問題解決という考えが持てたら、もっと面白く楽しく学べたのではと講演を聴きながら思いました。
・私は半世紀前の文教育学部出身者です。共創工学部の発足時に感じたのは、聞き慣れない名称に、古き良きアカデミズムが壊されて行くことへの懸念が半分、お茶大が新しい大学に脱皮していくことへの期待が半分でした。今回の桜蔭塾の聴講を希望したのも、共創工学部について知りたかったからです。枠からはみ出して異分野協働をという太田先生のお話はよく理解できました。新しい発想のプログラムで教育を受けることができる今のお茶大生が羨しくなりました。共創の発想はAIには出来ないとのお言葉も印象に残りました。
・本日は貴重なご講演ありがとうございました。 久しぶりの先生のご講義、大変学びになりましたし、癒されました。
